2008.10.22[水] 現実主義への批判
「智に働けば角が立つ。 情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」
「住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。」
「わが描かんとする題目は、さほどに分明なものではない。あらん限りの感覚を鼓舞して、これらを心外に物色したるところで、方円の形、紅緑の色は無論、濃淡の影、洪繊の線を見出しかねる。わが感じは外から来たのではない、たとい来たとしても、わが視界に横たわる、一定の景物ではないから、これが原因だと指を挙げて明らかに人に示す訳には行かぬ。あるものはただ心持ちである。この心持ちをどうあらわしたら画になるだろう。」
夏目漱石 草枕より
以前から読もう読もうと思っていてなかなか読めなかった草枕を読んでみました。
とにかく夏目漱石は天才だと思います。文体はリズムがよく、趣のある表現で、かといって抽象的過ぎることもなく、さらっとすごい深いことを示唆しています。まさにこの作品は「音楽」に近いものがあります。
合理的で、現実主義的な西洋文化に対して、深い心象風景を重んじる東洋文化は、芸術の世界だけでなく、自分たちが忘れてはならない、日本人の精神的なアイデンティティーを決定付けるものだと思いました。
とにかく、一度読んでみることをお勧めします。
by しゅーと
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「住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。」
「わが描かんとする題目は、さほどに分明なものではない。あらん限りの感覚を鼓舞して、これらを心外に物色したるところで、方円の形、紅緑の色は無論、濃淡の影、洪繊の線を見出しかねる。わが感じは外から来たのではない、たとい来たとしても、わが視界に横たわる、一定の景物ではないから、これが原因だと指を挙げて明らかに人に示す訳には行かぬ。あるものはただ心持ちである。この心持ちをどうあらわしたら画になるだろう。」
夏目漱石 草枕より
以前から読もう読もうと思っていてなかなか読めなかった草枕を読んでみました。
とにかく夏目漱石は天才だと思います。文体はリズムがよく、趣のある表現で、かといって抽象的過ぎることもなく、さらっとすごい深いことを示唆しています。まさにこの作品は「音楽」に近いものがあります。
合理的で、現実主義的な西洋文化に対して、深い心象風景を重んじる東洋文化は、芸術の世界だけでなく、自分たちが忘れてはならない、日本人の精神的なアイデンティティーを決定付けるものだと思いました。
とにかく、一度読んでみることをお勧めします。
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